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私達の結婚なんてただの紙切れ婚だ。元から愛情もなければ、情すらない。ただ何かの間違いで提出されただけの法律上の夫婦。実際、恋人にすらなれていない。
苦しい。なんで苦しいんだろう。体を許すんじゃなかった。キスを受け入れるんじゃなかった。
とめどない後悔が涙になって流れ出す。
一体私は何をしたいのだろうか。優梨から離れたいと思いながら優梨から突き放されたら悲しいなんて本当にバカだ。バカとしか言いようがない。
翌日私は精魂尽き果てていた。
「え? 朝からなんで疲れてんの? 昨日休みだったよね?」
早速真子に突っ込まれた。化粧でいくら隠しても真子にはバレるらしい。
「色々忙しくて」
家中を掃除してピカピカにしたことは言うまでもない。
「社畜ってやつ?」
「いやいや、そんなに仕事人間じゃないから。たまたま大掃除しただけで」
最近は必要以上に仕事をしていない。仕事中、体も動かすからか、休日はしっかり休まなければ次の日に影響する。いや、これは年のせいなのかもしれない。
「昨日は優梨君が死んでて、今日は葵ちゃんが死んでるなんて私ついてない。葵ちゃんはミスしないでよ」
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