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アルコールを使うところが私はまだ弱い。
6コール目が鳴ったところで私は電話を切った。ほっとしたような、寂しいような。2本目のビールを飲み始めた。お酒に逃げるなんて本当に私は弱い。
暫くするとローテーブルに置いていたスマホが鳴りだした。ビールを持ったまま、あたふたし、多少ビールをこぼしながらなんとか電話に出た。
「もしもし、電話出れなくてごめん。なんか用?」
なんか用って……用が無いとかけちゃダメなんですかなんてセリフが頭をかすめる。
「えっと、昨日疲れてたって聞いたから大丈夫かなって。もし、勉強大変ならシフト減らす?」
何を言っているんだ私は。単に心配してることを伝えれば十分なのに、シフトを減らすとか余計な事を。
「ああ、昨日ミスしたの真子から聞いた? ごめん。でも今度から気を付ける。ポイント始まったばかりでなんか慣れなくて」
「そうだよね。慣れていけば優梨なら大丈夫だと思ってるから」
「ありがとう」
「……」
何を言えばいいのか、なんと言えばいいのか分からず沈黙が流れた。
「それだけ?」
「あ、うん。忙しいならいいの。勉強頑張ってね」
「待って!」
私が電話を切ろうとすると優梨が叫んだので耳がツーンとした。
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