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「耳痛い」
「ごめん。今忙しくないから。さっき終わったから大丈夫」
もう少し話していいよと言う事だろうか。
「そっか。なんか変な感じだね。電話で話すと近くに優梨がいるように感じるのに手は届かない。星みたい」
「急にどうしたの? もしかして飲んでる?」
そんなに飲んではいないがお酒のせいにしてしまおう。
「うん。飲んでる」
「そっか。そうじゃないと電話もかけてこないよね」
「そんなことないけど」
「そんなことあるよ。葵が連絡してくるのって仕事の用事があるときだけだよね」
「それは理由があると連絡しやすいからで」
「つまり、いつも俺に連絡したいけど理由がなくてできないってこと?」
そこまで言ってはいないけど、優梨の声のトーンが少し上がったことに私は嬉しくなった。
「うん。そんな感じ」
「ヤバッ。……葵、毎日晩酌しながら俺に電話すること」
「何で?」
「だって葵ってお酒飲まないと素直にならないじゃん」
「でも、素直になったらつまんないでしょ」
「何それ? 素直なの可愛いと思うけど」
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