Ep.10

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「耳痛い」 「ごめん。今忙しくないから。さっき終わったから大丈夫」  もう少し話していいよと言う事だろうか。 「そっか。なんか変な感じだね。電話で話すと近くに優梨がいるように感じるのに手は届かない。星みたい」 「急にどうしたの? もしかして飲んでる?」  そんなに飲んではいないがお酒のせいにしてしまおう。 「うん。飲んでる」 「そっか。そうじゃないと電話もかけてこないよね」 「そんなことないけど」 「そんなことあるよ。葵が連絡してくるのって仕事の用事があるときだけだよね」 「それは理由があると連絡しやすいからで」 「つまり、いつも俺に連絡したいけど理由がなくてできないってこと?」  そこまで言ってはいないけど、優梨の声のトーンが少し上がったことに私は嬉しくなった。 「うん。そんな感じ」 「ヤバッ。……葵、毎日晩酌しながら俺に電話すること」 「何で?」 「だって葵ってお酒飲まないと素直にならないじゃん」 「でも、素直になったらつまんないでしょ」 「何それ? 素直なの可愛いと思うけど」
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