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「ええ。でもお休みが一緒になることは滅多にないのでよろしければ会社の女性に声かけましょうか?」
今は私かシェフのどちらかが必ず店舗にいるようにしている。だから優梨以上に私とシェフの休みが合う事はない。それに、ヘルプで来ていた女性はよくカフェに来るようになった。ここで名前を出すと怪しまれると思ったのでオブラートに言ってみた。
「いいえ、それは申し訳ないので、次休みが一緒になったらで大丈夫です」
「そうですか。でも、必要になったらいつでも言ってくださいね。声かけてみますから」
絶対に喜んでくると思いますと心の中でつぶやいた。
翌日は、久しぶりに優梨と同じシフトだった。
心なしかメイクに力が入る。
「シミ消しよし、シワも……まあいいでしょう。アイラインも程よい。アイシャドウも派手じゃない。よし」
私は優梨に会えて嬉しいなんてことがバレないように気を遣った。派手に見えずにでも透明感のある綺麗な女性を演出してみた。
いつも電話で話しているのに、久々に会う優梨はどこか大人びて見え、かっこよく、別の人になったように思えた。
「俺の顔になんかついてる?」
「いいや。なんでもない」
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