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「あれは、お腹が膨れ上がって、動けなくて、近くの映画館でたまたま上演時間が近い映画だっただけで、肩も寄せ合ってはないよ。シェフの体が大きかったからたまたまそんな風に見えたんじゃないかな。でも、私が寝ちゃったのは反省点ではあるけど、本当にやましいことなんて一ミリもないよ」
「なんか嘘っぽく聞こえてきた。ムカつく」
「嘘じゃないって。ってか、なんかそれって優梨がヤキモチ妬いてるみたいじゃん」
「ヤキモチだよ」
「え? ヤキモチってあのヤキモチだよ。餅を焼くんじゃないよ」
「葵ってバカなの? 口で分からないなら体で教えてあげる」
優梨は机越しに軽くキスをした。
優梨はそのまま笑顔で机の上に座り、私においでをするように手を広げてきた。
「来ないなら俺から行くよ」
優梨は満面の笑みでそう言う。おいでをされるのは優梨だろうと思いながら私は椅子を後ろに引いた。
「え? なんで?」
「話は終わったでしょ。本当にやましいことないから。ご飯食べて帰る?」
「はぁ」
優梨は大きくため息をつくと、机から飛び降り、私の膝の上に座り、キスをしてきた。
「……んっ」
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