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Ep.11
優梨は私がシェフと恋愛映画を見ていたことにヤキモチを妬いていたらしく、私がキスやそれ以上をしていい相手は優梨だけだと体で教えられた。
そんなこと言われずとも優梨以外とする気はないが、優梨に独占欲をむき出しにされるとなんだか嬉しい。
帰りに駅まで二人で向かっていると、優梨は周りの目も気にせず私の手を取り、恋人繋ぎをしてきた。
でも、優梨との年齢差10歳、それに彼は大企業の息子。私達は色々な事で価値観が違うはずだし、これから沢山お互いの嫌な部分が見えてくる。そしたらきっとこの関係だって終わりが来る。
結婚したから、子供がいるからと一生安泰な関係なんてこの世にはないという事は嫌と言うほど分かっている。だからこそ恋をしないと決めたのに、私はもうすでに優梨に翻弄されている。
今なら最小限の傷で済ますことができる。この想いはこのまま思い出にした方が絶対良いに決まっている。
そう思いながらも月日を重ね、私は優梨の甘い沼にどっぷりと浸かっていた。
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