Ep.11

2/26

3606人が本棚に入れています
本棚に追加
/309ページ
 あれから約束の3ヶ月が経ち、私は再び優梨の家に呼ばれた。  目の前には強面のお父さんが座っている。優梨も優醍君もお母さんもいない。 「わざわざすみませんね。今日は私だけの方が良いかと思い優梨には部屋で待機してもらっています」  お父さんが重い口を開いた。 「この3ヶ月、優梨は勉強に明け暮れ、私から沢山学び、驚くほど真剣に取り組んでいました。正直ここまで期待はしていませんでした。優梨は、勉強はせず、うまく行かないとすぐすねて、好きな事だけする甘えた子でした。長男だからと甘やかしたのが悪かったんですかね。今回も最初はあまり身が入っていなかったのですが、急に真面目に取り組むようになったんです。葵さん、あの子の原動力はあなたのようです」 「私、ですか?」  葵と呼ぶことから何か変な感じがするがどういうことなのだろうか。 「ええ。ここからする話は優梨には言わないでもらいたいのですが」  そう言って優梨のお父さんは話し始めた。
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3606人が本棚に入れています
本棚に追加