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お互い体の相性がいいというのは認めている。意外と生活リズムもあっている。それにこれだけのことをしてもらっておいて今更『好き』の言葉がないから不安だなんて乙女な事を口にする勇気がない。勇気がないのは年のせいなのか性格のせいなのか、私は自分自身に押しつぶされそうになる。
「どうかした? なんか悩んでるの?」
家で夕食を食べていると優梨が私の顔を覗き込んで尋ねてきた。
色々と悩んでおりますとは言えない。
「ううん。今日はカフェ最後の日だったから色々引継ぎとかで疲れただけ」
「そっか。お疲れ様」
優梨は優しい笑顔を見せながらそう言ってくれた。
「優梨は今日どうだった?」
「相変わらず気を遣われてるよ。女子は結構仲良くなったけど、やっぱり出世したい男性がどうも」
女子とは仲良くならなくていいのにと思いながらも私はお米を口いっぱいに詰めた。
「あはは。女子と仲良くなったからって嫉妬してる? ジェラシー葵」
なんでこの子は私の気持ちが分かるんだろうか。
「葵って意外と行動とか目の動きとかに感情出るよね。変にぶりっ子しない分ちゃんと見てたら分かる」
そうなのか。優梨は本当に私のことちゃんと見てくれているんだ。
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