Ep.11

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「楽しかった? ……楽しかったよね。もう付き合ったりしてるの? てか、旅行行くくらいだもんね。付き合ってるよね。当たり前か」  本当は相手が真子なのではないかと不安になり、カフェに来てしまったが、真子は朝から働いていた。  でも、それなら相手は会社の子なのだろうか。 「あ、あのさ、優梨の彼女って可愛い子? 可愛い子だよね。素直で、きっといつも笑顔で一緒にいて楽しくて、私いつでも離婚するよ」  嫉妬というものは人に言わせなくていい言葉を次々に言わせる。言いながら自分が傷ついていくのにそれでも止まらない。 「今なら役所間に合うかな? ああ、さすがに間に合わないか。離婚届って文房具屋とかコンビニにあるのかな?」  優梨の足が止まった。振り返る優梨の顔を見れない。自然と優梨の足元に目線が行く。 「葵は俺と離婚したいの? 俺来ない方が良かった? 大輝さんが来るまでカフェで待つ?」 「シェフが来るわけないでしょ」  告白されて私はまだ返事もしてないし、あれから一度も会っていない。だから来るはずがない。 「来て欲しいなら来てって言えば。大輝さんなら来るんじゃない。葵の事好きだし」 「なんでそれを?」
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