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「来年、来年行こう。葵の誕生日でも俺の誕生日でも、誕生日じゃなくてもいい」
来年、私達は一緒にいられるのだろうか。
優梨は本当に一ミリも私達が別れるなんてことを考えていないのだろうか。
どうしても私には離婚の文字が頭に浮かんでいる。
母は朝食を食べ終えると元気に帰って行った。母は優梨のことをどこまで知っているのだろうか。
優梨は、意外とすぐに仕事に馴染んだようだ。初めての営業職だが、先輩について回りながら沢山の人に会っているらしい。優梨はどちらかというと人と話しをして物をすすめるのは性に合っているようだ。既に何件か商談がまとまりそうだとか。
そういえば、初めて優梨がカフェに来た日も優梨はメニューを迷っているお客さんの話を聞き、一緒にメニューを決めていた。
優梨は本当に色々な可能性を秘めている。もっと大きな舞台に立って仕事をしてもいいのではないかと思うが、優醍君のことを思うとそう易々と言えない。
優梨は優醍君のことを嬉しそうに自慢げに話す。自分のせいで優醍君は小さい頃から期待を一身に背負って頑張っていると言っていた。そして優醍君こそ次期社長なのだと。
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