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「――だからそこはミスっちゃったけど、でも今度は間違わないようにする」
「うん、うん」
優梨が楽しそうに話しているのを聞くのが私の一番好きな時間だ。
私は嬉しくてたまらなく、笑顔で頷いていた。
「さっきからうんしか言わないけど、聞いてるの」
「うん、うん」
「そんなに可愛くうんうん言うなら襲ってうんうんうならせちゃうよ」
「うん、うん……え? それはダメ」
「うんって言ったもん。今日は熱い夜にしようね」
「なし無し、今のは無し」
優梨がニカっと笑う。ああ、この笑顔も好きだ。なんで優梨は花園優梨なんだろう。なんで私は優梨よりも10も年上なのだろう。私が優梨と同じくらいの年だったら、優梨が普通の家の子だったら、もっと心から楽しめたのだろうか。もっと優梨の気持ちを素直に受け入れられたのだろうか。
優梨がふざけて私を襲いだした時、優梨のスマホが鳴った。
「もしもし? ……うん……なんで知ってんの? ……そういうのやめてくんない? ……え……でも……分かった。聞いてみる」
電話を終えた優梨が私を見て嫌そうに言った。
「今度二人で家に来いだって」
何だろう。とうとう決断が下されるのだろうか。不安で一杯になる。
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