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優梨に出会えて本当に良かった。優梨の前なら私はダメなところも見せられる。いや、ダメなところしか見せていないかもしれない。こんなソワソワしている私なんて1年前想像もできなかった。
人前で堂々とすること。それが、商談相手としてなめられない最低限の振る舞いだった。いつの間にか普段の行動にも影響し、会社の人の前だと弱い自分は見せられなくなっていた。成績が上がれば上がるほど、昇進すればするほど、元彼にさえ見せられなくなった。
それが、転職し、優梨に出会い、すっぴんを見せることから始まり、いつの間にか素の自分を見せることに慣れていた。何か一つでも違っていれば今の私達はここにいない。
きっとこれが運命なのだろう。
運命を終わらせるも、切り開くも自分次第だ。
「お待たせしました」
優梨のお父さん、お母さん、優醍君がピリピリした空気をまといながら席に着いた。
負けられない戦いが今始まる。
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