3607人が本棚に入れています
本棚に追加
「あなた、会社を潰すつもりですか? ちょっとしたスキャンダルで会社が傾くことだってあります。もう優梨がカフェでアルバイトをしていたことも知れ渡っています。社会勉強をするなんて偉いという評価なのでまあ、多めに見ていますが、これで10も年上の一般庶民と結婚したなんて知れ渡ったらどうするおつもりですか?」
「どうするもこうするも、葵さんは営業マンとして優秀だ。葵さんが望むならうちで雇っても構わない」
「何を言っているんですか。女性は一歩下がって縁の下の力持ちに徹するべきです」
再び二人の口論が始まった。私がお金持ちの子供に生まれていたら、優梨と年が近ければ、やっぱりこうはならなかったのだろう。
二人の口論が激化していくと優梨が口を開いた。
「俺は葵がいいの。母さんも何してるの? 俺は葵と離婚しないし、会社に取って不利益になるならこの家に一生近づかない。それでいい?」
「優梨……」
お母さんは言葉を失った。
「ほら、言わんこっちゃない」
前もこのような流れになったのでお父さんはこうなることを見越していたのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!