Ep.13

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 それから約1ヶ月、やはり私の精神は一杯一杯になっていた。本社勤務になって忙しくなり、師走も重なって優梨と決めた月2回の営みさえ自然としないままだった。  クリスマスは平日だったこともあり、優梨がせっかく用意してくれた料理もケーキも単調に食べてお互い自分の部屋で寝た。誕生日プレゼント貰ったからと優梨は私にクリスマスプレゼントを要求しなかった。でも、私は優梨にネクタイピンをあげた。そして、優梨からの初めてのプレゼントはピアスだった。  多分、そこも楽しめなかった一つだろう。なんで指輪じゃないんだと心の奥底で思ってしまった。指輪を欲しいと言わない私が悪いだけなのに。  お正月休みも毎日優梨の家に行っていた。大掃除の仕方、おせち料理の作り方、着物の着付け、ありとあらゆるものを学ばされた。  掃除なんて好き勝手にすればいいし、おせちだって買えば済む。着物だって着る機会なんてほとんどない。優梨を好きにならなければ私は私の為に時間を使えたのにと思ってしまう。  あんなに優梨の為に頑張ろうと思って始めたのにこんな事を思ってしまう自分が嫌になる。
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