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優梨は私の為に嫌な仕事をして、休みの間も私に合わせて朝早く起きて朝食を作ってくれる。ますます自分がダメ人間に思える。
「おはよう」
「毎日ごめんね」
「なんで謝るの? 朝はおはようでしょ」
「優梨、優しすぎるよ」
「葵が俺の為に頑張ってくれているんだから、こんなの当たり前でしょ」
私の体は無意識に優梨を抱きしめていた。
「どうしたの? 今日は素直だね」
優梨はそう言いながら私の頭を撫でてくれている。
まだ頑張れる。
「ありがとう。元気出た」
「じゃあ、ご飯食べよう」
私は優梨の作った朝食を食べ、用意をして、部屋を出るとビシッとスーツを着た優梨が目の前に立っていた。
「どうしたの?」
「どうしたのって、今日お正月だよ。俺も一緒に行く日。忘れてた?」
そうだった。ここ数日毎日優梨の実家に通っていて大晦日のような日々を過ごしていたので日にちの感覚すらなくなっていた。
迎えの車に乗り、優梨の実家に行き、私はお母さんに手伝ってもらいながら着物を着た。いつもの練習用の着物ではなく、今日の着物は優梨のお母さんのお古だった。
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