3607人が本棚に入れています
本棚に追加
「私もビックリした。なんかごめんね。言えない事情があって」
母は、事前に事情を聞いていたらしい。先日いきなり秘書の人が家を訪ね、事情を説明し今日の食事に誘ったそうだ。
「葵さん、いつまでお母様と外でお話しているのですか?」
優梨のお母さんが私達を呼びに来たので私は母を連れて皆がいるダイニングに母を通した。カチコチになるかと思っていた母は、相変わらずマイペースに高級シャンパンを渡し、優梨にこれぞおばさんという感じで肩を叩いて話をしながら笑っていた。
母恐るべし。
「ご挨拶が遅れて申し訳ございません」
優梨のお父さんがそう言った。両家の親が揃うのはこれが始めてだ。
「こちらこそ何も知らずに申し訳ございません。まさかこんな立派なご氏族とは知らずに、もう驚いてしまって。あはは」
私が母の強靭な心臓を引き継いでいたならもっと気楽にこの状況に馴染めていたのだろうか。
「葵さんとお母様は雰囲気が違いますね」
「この子は堅物で。もうちょっと気を抜いて生きて欲しいんですが、誰に似たのか」
最初のコメントを投稿しよう!