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「あはは。葵さんにはもう十分頑張ってもらってますよ。優梨から話は聞いています。毎週末遅くまで妻の相手をしてくれているようですね。ただ、それでは体が壊れてしまいます。妻は外で働いたことがない故、申し訳ありません」
「そんな、私がいびっているようじゃないですか」
「違うのか?」
「違いますよ。こんなことくらいで逃げ出すならうちには無理というものです。それにご婦人会にも早く出席していただかないと」
「ふぁっはっはっは」
ずっと黙って笑顔で食事をしていたおじいさんが笑い始めた。
「もう全員葵さんを花園家の嫁と認めているではないか。心配して損した。これなら彼女とバカンスにいけばよかった。今から行くか」
おじいさんは笑って席を立った。彼女とバカンスとは若い。
「じいちゃん、今日はありがとう」
優梨がそう言った。おじいちゃんは親指を立てて優梨にウィンクしている。おじいちゃんを呼んでくれたのは優梨だったようだ。
「では正式に葵さんを嫁として迎え入れるという事でいいか?」
「それは……」
お父さんの問いかけにお母さんは言葉を詰まらせた。
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