Ep.13

12/19
前へ
/309ページ
次へ
「あはは。葵さんにはもう十分頑張ってもらってますよ。優梨から話は聞いています。毎週末遅くまで妻の相手をしてくれているようですね。ただ、それでは体が壊れてしまいます。妻は外で働いたことがない故、申し訳ありません」 「そんな、私がいびっているようじゃないですか」 「違うのか?」 「違いますよ。こんなことくらいで逃げ出すならうちには無理というものです。それにご婦人会にも早く出席していただかないと」 「ふぁっはっはっは」  ずっと黙って笑顔で食事をしていたおじいさんが笑い始めた。 「もう全員葵さんを花園家の嫁と認めているではないか。心配して損した。これなら彼女とバカンスにいけばよかった。今から行くか」  おじいさんは笑って席を立った。彼女とバカンスとは若い。 「じいちゃん、今日はありがとう」  優梨がそう言った。おじいちゃんは親指を立てて優梨にウィンクしている。おじいちゃんを呼んでくれたのは優梨だったようだ。 「では正式に葵さんを嫁として迎え入れるという事でいいか?」 「それは……」  お父さんの問いかけにお母さんは言葉を詰まらせた。
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3607人が本棚に入れています
本棚に追加