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エピローグ
「ちょっと、早い」
「ごめん」
ヒールを履いて走るのは意外と難しい。しかもつるつるした床は相性最悪だ。
優梨が足を緩め私の隣に立ち、エスコートしてくれる。建物を出るといつものお迎えの車が止まっていた。
「どうぞ、お姫様」
この年になってお姫様はない、と思いながらも嬉しくて頬が緩む。
「どこ行くの?」
「秘密」
車はどんどんと郊外に向かう。あの温泉旅館だろうかと思っていたが、ついたのは飛行場。
あれよあれよとプライベートジェットに乗せられて着いた先は……
「アロハ~」
花柄のワンピースを来た女性たちに花輪を掛けられた。
「ってなんでハワイなの?」
「だって結婚式するんならハワイが良かったんでしょ?」
どこでそんな情報をと思ったが、どうせ母だろう。確かに30を越えたあたりから結婚は国内よりは海外挙式で親族だけで行うのがいいと思っていた。だから元彼と付き合っている時に母にポロっと話したことがある。
ハワイが良かったわけではない。ただ、限られた人だけで終わらせたかっただけだ。
「新婦さんはやる事多いんだって。式は明日だから、今日は頑張ってね~」
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