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この1ヶ月、私はエステに通わされていた。社交ダンスでは綺麗な背中を見せなければならないという理由で通わされていたが、既にあの時から決まっていたのだろうか。
今思えばあの頃から社交ダンスのドレスを作るという名目で採寸されたり、靴を履かされたり、優梨の作る食事がヘルシーになったりと今日の為だと思える出来事が続いていた。
「優梨が早く結婚式したいって言うもんだから本当に隠すの大変だったのよ」
隠す? そうだ。1ヶ月も前から今日のことが決まっていたんならおかしなことだ。私達の結婚が認められたのはつい最近だったのだから。
「では、1ヶ月前には結婚を認めてくださっていたという事ですか?」
「優梨の押しに負けたのよ。でも、葵さんが今日までに一定レベルに達しなければ全てキャンセルするつもりだったわ」
そうなのか。優梨はそれでも私を信じて準備してきてくれたんだ。
優梨には頭が上がらない。
「優梨君は強行しそうですけどね」
母がそう言った。
「そうなんですよ。優梨ったら絶対結婚式はする、お金は借金してでもキャンセルしない自分のお金でやるって言ったんですよ」
「かっこいいじゃないですか」
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