失恋した春

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逃げる様にバーガーショップを出て駅に向かった。帰りの電車は夕方のラッシュが終わりかけていて、でも座れる程ではなくて。つり革に捕まって窓の外をぼんやりと見ていた。街灯が線になって見えるのは、きっと涙を堪えているから。 改札を抜けてロータリーの先の道までもう少し。あの道まで行けば駅を背に同じ方向に歩く人達に涙を見られない。 そう思って小走りにロータリーを抜けようとした。 「さゆ~っ!今帰り?」 ロータリーにあるコンビニの前でシャカシャカとコンビニ袋を持ったまま手を振って私を呼び止める蒼真。 近寄って来て顔を覗き込み 「どうした?腹でも痛い?」 さっき眞子に言った嘘を聞いてたかの様なセリフへの苛立ちと、タイミングの悪さと、どこにも持っていけない気持ちを蒼真にぶつけて、多分凄い顔で睨み付け。 「何でもないっ!」 と吐き捨て走ってその場を去った。 蒼真は追って来なかった。
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