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王様軟禁中
異世界からこんにちワン 麗しき生意気女王と2国間戦争編
さて、どうしようこのしょうもない状況。
救星の勇者にして、学園国家アカデミーの国王にまで登り詰めた男は、ベッド脇に置かれた豪華なソファーに座って、幸せそうにイビキをかきかけた愛人の寝顔を呆然と見つめていた。
鼻の通りが良くないんだよなあ。だからイビキをかくんだよ。
10メートルほどのそのそと近づき、中央国家セントラルのイケイケ女王、ミラージュ・デラ・ウィンシュタット(15)の鼻を摘まんでみた。
「ンーーンゴ」
まあ言うよなあ。もう俺のワンちゃん受け入れ済んでるってのに、何ともあどけない寝顔だよなあ。
そのまま摘まんだり離したりを繰り返してみた。
「ンゴー。ンゴー」
ついに本格的なイビキをかき始めたよ。
「可愛いっちゃ可愛いんだよなこいつ。ニャンニャンちゃんに俺のワン液垂れちゃってるし。ホントに15か?フラさんよりおっぱい大きくないか?」
俺の身近なおっぱいランキング。
フラさん>ミラージュ>エメルダ>イゾルテ>アリエール>>>ゴゴドンゴ>>>ユノ
現状こんなんだよな。ただアリエールは俺としてからメキメキおっぱい育ってるし、いずれ上位に食いつくであろうことは間違いない。
相変わらずちっこいんだ。ユノは。
俺はロリコンじゃないんだ。妊娠した時おっぱいふにゅんになってたんだ言い訳じゃないけど。
そんなユノももうすぐ臨月になるけど。
生まれたら会いに行かんとな。いい名前考えなきゃ。
アリエールは妊娠半年、エメルダは妊娠4ヶ月。
会いたいなあ。あいつ等にも。
でも、俺は王宮から出られない。
ミラージュの妊娠が確定するまで軟禁されている。
ついでに王宮内の全ての転移法陣は閉ざされ、王都(その呼称は変わってない)は戒厳令が敷かれ、挙国一致体制で俺とミラージュの間の王嗣の懐妊に協力することを法的に義務づけられていて何この状況。
実際この部屋の外には銃を装備した近衛銃騎兵がウロウロしてるし出たら撃たれるし。
あー、どうせ扉に背中合わせて座り込んでんだろうな。ジェイドの奴。
ミラージュとの最初の夜の後、イゾルテに会いに行って顔面蹴られてシオシオと家に帰ろうとしたところで、外で待っていたのがジェイド・ブレイバルという年下の王立捜査官だった。
「待っていたぞロリコン」
開口一番ディスってんなお前。
「あ?ジェイドじゃねえか久しぶり。タルカスこっちに引っ張って悪かった。あと誰がロリコンだ。妊娠してたユニエスは元気か?」
「お陰様で母子共に健康だ。シリウスもな」
2人の間にあった話題は、前に出会ったジェイドの幼馴染みと、兄貴の遺児のことだった。
本当のところは兄貴のユリアスとジェイドには血の繋がりはないが、その辺の話をすると長くなるし、あえて言わないよう共通認識が出来ていた。
「おお!生まれたんだなおめでとう!名前は?」
「ジェイド・ジュニアだ。俺にそっくりすぎるとユニエスがな。今は捜査室を寿退官した。実は俺もだ。今は捜査官ではない」
「へえそうかー。今は何してんだ?」
「それについては話がある。耳を貸せ」
言われたんで耳をそばだてた。
あ?ミラージュ?あ。
こいつから薫るミラージュの匂いに気づいた時にはもう遅かった。馴染みのある魔法封じの手錠が嵌められた。
「ああ!ジェイドお前何すんの?!」
「王立捜査室捜査官改め、相棒をお前に取られ、稼ぎ頭で再就職先として女王陛下に近衛銃騎兵にされたジェイド・ブレイバルだ。英雄王ジョナサン・エルネスト、未成年への淫交容疑でセントラル王宮へ来い。よく考えたら15歳の女王への性的暴行は疑いの余地はない。罪人に人権はないから大人しくついてこい。これはお前自身が吐いた言葉だロリコン。滅べこの救星の偉大なロリコン馬鹿」
おい。
そんな訳で今俺はこうして高いびきかいてる生意気な女王と2人きりにされている。
摘まんだり離したりを繰り返している内に、ミラージュの鼻からボー、ボーという音がしてきた。
「船の汽笛かお前は。プ」
ボー、ボーという娘っ子女王の汽笛を聞きながら、ジョナサンは思わず頬が緩んでいた。
生意気で、可愛い俺のミラージュ。
たった一晩でワンニャンワールドのレベルマックスに到達した不可解な愛人。
でも、やっぱり何かおかしいんだよな。
ジョナサンは妙な違和感を覚えていた。
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