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妙な違和感
おかしい。ジョナサン・エルネストは、激しく腰を打ち付けながら、目下であえぐ女王に妙な違和感を感じていた。
フラさんはミラージュじゃない。
それは解っていたが、それでも、たかが15歳の娘っ子に圧倒されつつあった。
フラさんの方が素直なのはそうだ。
現にたった2回の行為で、ジョナサンはフランチェスカの弱いところをほぼ全て網羅した。
その、女性に対する自信のようなものが、根底から崩されていっているのを感じていた。
ホントに底が知れんなこいつは。
ジョナサンは人知れず圧倒されていた。
気がつけば上を取られ、そして、
ミラージュの腹に出してしまっていた。
「あー気持ちよかった。ダーリンちゃんと中で出しなさいよ。子供出来ないじゃんか」
とりあえず、臍の辺りを拭いながら、ミラージュは事も無げに言った。
おかしい。確かにこいつおぼこだったよな?
もうフラさんレベルの練度に達してるよ。
しかも、こっちの不手際を咎める辺りただ者ではない。
子作り行為を一対一の対決に仮定した時、今のところジョナサンは、ミラージュに連敗していたことになる。
「あー。終わったらパンツ返して」
有り得ん。フラさんがそういうの言うようになったのは、ステラが1歳過ぎてからだった。
こっそり持ち帰ってクンクンして寝るのが日課だったのに。
フラさんにある日パンツないんだけど。私がお風呂に行く度、エッチする度になくなってるんだけど。って言われて凄いビックリしたよ。
こいつは何かがおかしい。
覚えたての頃はそんな余裕ないはずで。
俺のワンちゃんの感触に適応するのに忙しいはずだ。
アリエールもエメルダもそうだった。
うん。まあアリエールは最初の1回で妊娠したんだけどね。
誰かがいる。ミラージュにワンニャンワールドの機微を教えている誰かが。
だが。
ふん。とばかりに余裕ぶっこいているミラージュを押し倒した。
「勝ち誇った顔しやがって。生意気な女王っ子の鼻をへし折ってやる。最初はけっって顔してるが、最終的にお前のニャンニャンちゃんは、俺のワンちゃんをフニュっとキュキュンとおねだりするようになるんだ。昨日の夜なんか気絶しちゃったくらいだし。ミラニャンの奥の子宮が子供欲しがってただろう?」
「は?まあ子供はいてもいいけどさ。ホントに孕ませられんの?私を」
「お前が妊娠するまで出られんのだ城から。だったら意地でも妊娠させてみせる。ユノもそろそろ臨月だし。子供に名前考えなきゃな。ユノは男だって言ってる。サゲンタ夫婦がいたら、イシノモリ・タモサク・エルネストになっちまうだろうが」
最近ユノの両親イシノモリ・サゲンタ、トモエ夫妻はアカデミーに引っ越して、東の平原で根野菜の栽培を始めていた。
「あー。やっぱりあったかい♡ミラニャンちゃんミラニャンちゃん♡激しくしていい?」
甘えた声を上げたミラージュをぎゅっと抱き締めたアカデミー国王の、まことに品性の払底した振る舞いがあった。
これで出来るといいが、多分、そろそろフラさんがキレる頃だ。
ギリギリでうちの長男の出産に立ち合えたし、名前もフェリックス・エルネストになってよかったよホントに。
フラさんがセントラルに侵攻したらどうしよう。
国防軍集めて挙兵しそうだ。
ハッキリ言ってフラさん根本的に蛮族と変わらんからなあ。
1歳児抱いたバーバリアン・クイーンだもんなあ。
そうなったら喜んでミラージュも国軍動かしそうだ。
学園国家アカデミーとセントラルが衝突したら。
不味い。不味い不味い不味い不味い。
フラさんはきっと俺を殺すだろうな。
どうしよう。何とかしなければ。
ジョナサンの無為な思考はグルグルと無意味に回っていた。
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