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王宮閨房指南役
グースカ寝ているジョナサンを一瞥し、ミラージュはかつての後宮の奥を目指していた。
ミラージュの父親、先王グラムの祖父の代まで女官や妾だけが暮らし、次代から使われなくなり、やがて女犯を犯した罪人を裁くようになったが、ジョナサン・エルネストが王女誘拐の罪で誤認逮捕されたのを最後に無人と化していたのを、ミラージュは改装してコッソリ使うことにしていた。
「ディーテ!ディーテ・オリンポス!いる?!」
ミラージュは乱暴に扉を蹴破って言った。
「どうかしたのミラージュ?」
若い女の声がした。
「王宮付閨房指南役、ディーテ・オリンポス、罷り越しておりますわ」
女特有の濃密な匂いがした。
「前王は私を利用しなかった。久しぶりにお声がかかったと思ったら、小さな可愛い娘だった。閨房指南役と言っても、私はアレクのお腹の上にいただけの女で、息子のラインハルトの筆下ろしをしただけの女よ」
曾祖父の女で、祖父に女の味を教えたと言うだけあって、確かに彼女は女と言うものの頂点にいたであろうということは間違いなかった。
男なら、魂のレベルで震えたつような美しい女だった。
「別にいいのよどうだって。お爺様の最初の相手があんただって今更驚きゃしないわよ。お婆様を放ってあんたに執心したお陰で、お父様は女と言うものに対して恐怖心を抱いて育った。私は人間だった頃の母星神ガイアに師事してた女よ。あんたが幾つだって」
「泰然としてていいわ貴女。美しく賢い子。貴女は5歳の頃に私を見出だした。ガイアね。先代のガイアもそうだけど、今のガイアも美しいわね。私は美を司る女よ。愛は要らない。あの子残念だもの。結局ショーガールでしかないでしょう?」
「王宮には、古代言語で書かれた書物が大量に残ってる。ダーリンが中央図書館作って広く公表しろって言ってたくらいだもの。ダーリンが愛書にしてたアライダー・ファーストエビルの書にはあんたの正体について明確なヒントがあった。あんたが持ち込んだ貝のベッドはホタテ。長生きなのも納得ね。美の神アフロディーテ」
巨大な魔力が満ちた。
「私が神だと何か問題?」
「はっ。別にいいわよ王宮に神の一人や二人うろついてたって。セントラルが世界の中心であることの証明だし。それでね?アフロディーテ」
「なあに?美しいミラージュ?」
「お前私に何教えたあああああああああ?!結局ダーリンに負けたぞおおおおお!最後気持ちよすぎて気絶しちゃったのよ!どうやればダーリンを腹で飼えんだあああああああああああ?!」
神?知らんいれば使う。と言う女王の考えは無茶苦茶だったと言う。
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