1st memory あなたのことは知らないはずなのに、あなたのキスは覚えてる

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Side朝陽 「おじさん!おばさん!」 病院についてロビーに入ると、凪波の父親と母親……おじさん、おばさんが肩を震わせながらソファに座り込んでいるのが真っ先に目に入った。 「朝陽くん……」 最初に俺に気づいたのは、おばさんだった。 おばさんの声で、俯いていたおじさんも顔をあげて俺を見た。 「よぉ……来てくれたなぁ……」 「当たり前じゃないですか!それより、凪波は……」 「私らもな、ようわからんのよ。ねえ、あなた」 「よくわからない……?どういうことですか?」 「それがな、急に、ここの先生から電話があったんだよ。凪波がここに運ばれたー、意識不明の重体だー……って」 「意識不明って……理由はなんですか?」 俺が聞くと、二人は首を振った。 「わからない……何もわからない……あの子のことは……」 そういうと、おばさんが泣き崩れてしまった。 俺は、何て声をかけていいのかわからなかった。 ふと、凪波の声が頭をよぎった。 「私、夢を大事にしたいの」
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