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発見
「会議では後回しにってことになったけど、このグループが一番、可能性があるような気がするんだよ。まあ、空振りだってことも十分あり得るけどね。悪いけど、Cに手をつけていることを黙っていてくれないか」
「まあ、分かったよ」
サリヤは手を上げて、自分の机に戻る。
セナは直ぐにもサンプルを取りに、低温保存されている倉庫へと足を向けた。
✳︎✳︎✳︎
「砂?」
ソルベは手を止めたまま、当分の間、固まった。
「はい、ライアさんが送ってくれた手紙に付着していた砂の成分が、鈴果の一部の成分と一致するかもしれない、と」
「まだ、確定ではないんだな」
「採取した砂の量が十分でなかったので……それで、ライアさんは?」
ソルベは何かを考え込んでいるような顔をして、直ぐにも奥の部屋へと入っていってしまった。
その様子を見たロイがやれやれというような仕草をして、代わりに答えた。
「ライアは出ていったよ。もう一ヶ月以上も前になるから……どうだろう、もう大陸の南くらいかなあ」
「南に向かったんですか?」
「うん、そんなようなことを言ってたから。でも、確実じゃないけどね」
セナがやった使いの者は、懐から紙を出してロイに渡す。
「これ、追加のサンプルのリストです」
ロイが広げて見てみると、そこにはぎっしりと収集物の名が書いてある。
ライアに貰ったサルダ芋の名もあった。
「これからは少しずつ、ストックしていく方針になりまして。いつもより少し量を増やして、お願いしたいとのことです」
「父ちゃんに、伝えておくよ」
いっぱしの助手のような振る舞いをしてから、じゃあと言って、ロイはドアを閉めようとした。
「あ、ちょっと待って。ライアさんがこの手紙を書いた場所って、どこだか分かりませんか?」
差し出してきた手紙は、ビニールに入れられて、封がしてある。
ロイは、少し考えて、答えた。
「ライアは、ここら辺をあっちこっち歩いてたからなあ。分からないよ」
使者はあからさまに困った顔をした。
「弱ったなあ。必ず砂を持って帰るよう、言われているんだけど」
「見せてみろ」
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