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砂を求めて
奥の部屋から、ソルベが大声を出しながら出てくる。
使者は素直に手紙を渡した。
袋を開けてから、そっと机の上で取り出す。
すでにほとんどの砂はかき集められて採取されているので、それほどのざらつき感はない。
ソルベは指で、紙面を擦ったり、透かし見たりした。
手紙の縁に沿って、指をすっとスライドさせる。
「これはうちの庭じゃない。川沿いの砂、だな」
「そういやあ、ライアは川で拾ったと言って、淡いオレンジ色のガラスの破片を見せてくれたことがあったよ」
「それは、どこですか?」
「俺が案内する! いいだろ、父ちゃん!」
ロイが意気揚々として、帽子をかぶる。
ライアに貰った斜めがけの小ぶりな鞄を背負うと、「じゃあ、行ってくるね」と言って、飛び出していった。
ソルベはそのまま、奥の部屋へと入っていった。
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