砂を求めて

1/1

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ

砂を求めて

奥の部屋から、ソルベが大声を出しながら出てくる。 使者は素直に手紙を渡した。 袋を開けてから、そっと机の上で取り出す。 すでにほとんどの砂はかき集められて採取されているので、それほどのざらつき感はない。 ソルベは指で、紙面を擦ったり、透かし見たりした。 手紙の縁に沿って、指をすっとスライドさせる。 「これはうちの庭じゃない。川沿いの砂、だな」 「そういやあ、ライアは川で拾ったと言って、淡いオレンジ色のガラスの破片を見せてくれたことがあったよ」 「それは、どこですか?」 「俺が案内する! いいだろ、父ちゃん!」 ロイが意気揚々として、帽子をかぶる。 ライアに貰った斜めがけの小ぶりな鞄を背負うと、「じゃあ、行ってくるね」と言って、飛び出していった。 ソルベはそのまま、奥の部屋へと入っていった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加