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「あーっ、美緒ちゃんの新しい彼氏って、もしかしてミチ君なのぉ?」
お母さんは嬉しそうに手を繋いだ状態の私と道弘さんを見て、にこにこしている。
「はい。一平さん――いえ、お父様、お母様。本日はお嬢様――緑竹美緒さんとの結婚を申し込みに参りました! 許可を頂けるというならばこの中松道弘、命を懸けてお嬢様を幸せにすると誓います!!」
えええーっ。いきなりそんな挨拶なのぉ!?
予想外すぎてビックリなんだけど!
道弘さんやっぱスゴイ・・・・。想像の先を行く人だわ。大物ね!
「きゃー、素敵! こちらこそよろしくねぇー」
お母さんは目を輝かせ、キラキラの笑顔を向けた。そして道弘さんの手を取って、ぶんぶんと振り回す勢いで握手している。
「二人は何時から付き合っていたのだ? 昨日急に外泊すると琥太郎から聞いたが」
お父さんがジロリと道弘さんを睨んだ。
「お付き合いを始めたのは昨日です。思いを伝え合い、ご挨拶を飛ばしてお嬢様と関係を持ってしまいました。申し訳ありません。私の未熟さが招いた結果故、お怒りは真摯に受け止めます。切腹を命じられるなら、甘んじて受け入れる覚悟は出来ております」
「ちょ、ちょっとちょっと! 道弘さんっ! 切腹なんて現代風じゃないよ! 責任の取り方おかしいって!」
「指詰めの方がいいのか?」
「ちがう――っ! そうじゃないから――っ!!」
何でこんなおかしな挨拶になっているんだろう?
でも、道弘さんらしいとは思う。
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