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「こんないい男が看板に立ったら、行列出来すぎてこの店パンクするなぁー」
ギンさんがわっはっは、と豪快に笑った。
「そうだよ。それは困るの。若い人だけじゃなくて、道弘さん狙いのおばちゃんやおばあちゃんはいっぱいいるのよ!」
「ソッチ系はヤンチャするなよ? 女関係でみおちゃんを泣かせたりしたら、俺がタダじゃおかないからな」
「命を懸けて、その様な事は致しません」
そうか、とギンさんは愉しそうに笑った。「よし。じゃあ秘伝のオムライスの作り方、じっくりとミチに教えてやるから」
「ありがとうございます。しかし、それで引退されては困りますよ。まだまだ現役で頑張って貰わないと、師匠」
「おおー、師匠っての、いいなあー」
ギンさんは本当に嬉しそうに道弘さんと肩を組んだ。「ミチ。背、たけーな」
「ありがとうございます。しかし人生の背丈はまだまだ師匠には及びません。色々とご指導、よろしくお願いいたします」
「任せてオーケー」
にかっと笑うとギンさんは道弘さんを厨房に引きつれ、嬉しそうにフライパンを振るい始めた。それはまるで、息子を可愛がる父親のような背中をしていた――
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