episode⑪-3

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episode⑪-3

とうさまと一緒にミサキがやってきた。 もちろんとうさまがミサキを迎えに 行っただけだろうし(何でかは?だけど) もう平気なはずなのに まだ少しとうさまにやきもちを焼いてしまう僕は まだまだ子供なんだろうか…? 「ユンジャ!!」 ミサキが花のような笑顔を浮かべて 僕の胸に飛び込んできて ようやく僕の機嫌も良くなったわけで(苦笑) 「よく来たね…ミサキ」 「会いたかったわ、ユンジャ」 「あのさ、ミサキ…」 「なあに?」 「ここまでずっととうさまと一緒だったの?」 「?…うん。そうだけど?」 「じゃあ…あの部屋にもとうさまを上げたの?」 「ええ。ナナコさんのアップルパイを 持ってきてくれたから お茶を一緒にしてからここに来たのよ」 「ふうん…お茶…だけ?」 「え…?」 きょとんとしていたミサキは、 あっという顔になると 突然ゲラゲラと笑い出した。 「やだぁ、ユンジャったら」 「だって…」 ああ…やきもちを焼いてることを知られるのが こんなに恥ずかしいことだなんて…!! 「もう…ユンジャ…大好きよ」 ミサキはそう言うと僕の胸に顔を埋めた。 「どんどん好きになり過ぎて怖いくらい…」 「僕もだよ、ミサキ」 僕は思わずミサキをぎゅっと深く抱きしめた。 どうしようもなく君を愛しているんだ、ミサキ… 「さあさあ、お二人さん。続きはお部屋でね」 かあさまに両肩をポン!と叩かれて 僕たちは思わず顔を赤らめた。 ミサキの手を引いて僕の部屋まで行く。 この寒々しい廊下がミサキと一緒にいると こんなにも暖かく感じられるなんて…。 部屋に入ってドアを閉めると 僕はミサキの腰をぐいっと引き寄せて唇を塞いだ。 「あん…」 小さな声を上げるミサキがかわいくてたまらない。 「ユンジャ…」 「ん…?」 「もっと…キスして」 僕は何度もミサキの小さな唇をむさぼるように キスを繰り返した。 ああ…このままずっと一緒にいたい。 ミサキを抱きしめたまま 僕はソファにゆっくりと身を沈めた。 この愛しいぬくもりをずっと感じていたかった。 「あのね…ユンジャにあげたいものがあるの」 ミサキが僕の胸に顔を寄せたままそっと言った。 「なんだろう?」 ミサキはにっこりと笑って、僕の胸から離れると 持ってきたバッグから小さな箱を取り出して 僕に差し出す。 箱を受け取った僕はその蓋をそっと開けた。 中から出てきたのはシルバーのブレスレット。 「最近ね…彫金の勉強も始めたの」 「じゃあ、これはミサキが作ったの?」 「まだへたくそなんだけど…」 ミサキは微笑むと、僕からブレスレットを手に取って 僕の左手につけてくれる。 ブレスレットには小さな銀のプレートが付いていて 「Y・Y」のイニシャルとバラのモチーフが 彫られていた。 「何か身につけるものをユンジャにあげたて…」 「すごく…すごくステキだ。ありがとう、ミサキ」 僕は再びミサキを抱きしめた。 「良かった…喜んでもらえて」 「大切にするよ。」 もう君のことを離したくないよ、ミサキ… 「ミサキ…」 「なあに?」 「このまま…ここで暮らさないか?」 「ユンジャ…」 ミサキは嬉しそうな、それでいて 少し困ったような顔になった。 「すごく…嬉しいわ」 「じゃあ…いいんだね?」 「でも…少し待ってほしいの」 「待つ…?」 ミサキは僕の腕の中で静かに話し始めた。
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