episode⑪-8

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episode⑪-8

ユンジャ兄さまがミサキさんと 結婚することになった。 「うちはみんな人間を妻にしてしまうのかな」 とうさまはそう言って笑うけど 僕の好きな人はヴァンパイアなんだけどな(笑) しかもオンナなのにとびきり強い 戦士(ソルジャー)でもある。 僕にとってベロニカは好きなオンナで 同志で、共に守り合う存在だと思う。 いつかベロニカと結婚したら… 僕は2人でこの土地と家族を守っていくと思うんだ。 僕がベロニカを守るように ベロニカも僕を守る そして2人で共に戦いながら 暖かい家庭を築いていくんだ。 でも、それはいつの日なんだろう…? もちろん一緒にいたいって思うけど 僕たちにはまだ早すぎる気がする いつものように大きな木の上で ベロニカと話している時 ふとベロニカがつぶやいた。 「ユンジャさん、結婚するんだね」 「ああ。兄さまたちは人間のように 結婚式をやるんだって。 だから、城中が支度や準備でおおわらわだよ」 「へえ… なんか…いいね」 「ベロニカはさ…結婚式はしたい?」 「え…?  うん…」 顔を赤らめてベロニカはこくりとうなずいた。 「みんなに祝福されて家族になるって… なんかステキだと思う」 そっか… ベロニカは… 僕はベロニカがひとりぼっちなのを感じた。 そのか細い肩に手を回して抱き寄せる。 「ユノヤ…?」 「ベロニカ…」 「ん?」 「いつか…僕たちもやろう」 「うん…」 「家族…作ろうな」 返事をする代わりにベロニカは 僕の胸に顔をうずめた。 やっぱり妻にするのはベロニカしかいない。 「ありがと…。ユノヤ」 「おう」 木の上で寄り添う僕たちに ふわりと優しい風が吹いた…。
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