手記:本文

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 しおりの言っていたことは、ぞっとするほど正しかった。内田は僕のえん罪を晴らした。事件解決を通して、僕が本当は何をしたかったのかあの夏に気がつかせてくれた。  確かに何も返せてはいない。とはいえ、彼が何かをしてほしいと頼んだことがあっただろうか。ない。ただでさえよくわからない人間の心理を読み、要望をくみ取ってみせることはさすがにできない。超能力の類いじゃないか。  いや、おそらく違う。おそらくの推測ずくめだが、内田は同い年で探偵としての能力に突出しているが、自己中心的で幼稚なのだ。
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