哲学者とその弟子

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　音と映像を研究し、アリストテレースは情報の圧縮の仕方を発見した。何度も繰り返される冗長な部分に割り当てる要素は減らすことで、より多くの情報を伝えることができる。
　そしてペルシア産の天然ソーダを使ったガラスを木箱の側面にはめ、映像も記録・再生できるように改造した。

　しかし、それを見たときのプラトーンの反応はやはりさびしいものだった。

「アリストテレースよ、わたしの講義を見聞きした人々は、意識高い人々かもしれない。賢くなった気がするかもしれない。映像と音で多くの情報を伝えられるだろうし、わたしが死んだあとにアカデメイア学園の遠隔授業コースとして販売してこの学園を維持する収益にするにはいいかもしれない。でもそれはわたしが命をかけて人に伝えたいこととは違う。ソークラテースがわたしの心に燃え移らせた炎とは関係がないんだ」

　ソークラテースはアリストテレースの肩に手をかけてそう言った。