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「なあ、お前さ。代償屋って知っているか?」
「ああ。知っているよ。」
昂輝は当たり前のように答える。
「はあ!?まじかよ?」
「最近流行ってるよね。僕は使ったことないけど。学科の木村とか使ったらしいぜ。」
さらっと答える。
「えええ!?夏希ちゃんと付き合ってるあいつが!?」
「ああ、別れたよ。」
「はああ!?」
代償屋の詳細より木村のほうが気になる。
夏希ちゃんとはこの男子高校生の延長のような男子たちの中で唯一輝く女子だ。
顔もめちゃくちゃかわいいし、愛想もいい。
この学科のアイドルのような存在だった。
木村ってうちの学科のアイドルと罪深くも付き合いやがったあいつじゃねえか。
でも結構長く付き合ってて幸せそうだったのにな…。
そんなやつが代償屋を?というか実在してたのかよ。
そんなことよりこいつ、さらっと答えすぎだろ。感情ってものがあるのか?
交友関係が狭いくせにやたらとそういうゴシップに詳しいこいつの発言にはいつも驚かされる。
受け答えが用意されているAIのように淡々とこいつは話す。
「木村はさておきさ。代償屋、気になるなら裕太も行ってみれば?空き地に行って『取引お願いします。』ってお願いすればいいらしいよ。」
「はあ。」
なんだそれ。都市伝説かよ。
なんだそのふわふわした情報。
もう少し詳しく聞きたかったところだがその瞬間、授業開始のチャイムが鳴った。
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