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こうやって僕は人生初の友達ができた。
と思っていたら僕と碧衣を引き離そうとする人達が現れた。
「平坂くん!その子と仲良くしない方がいいよー。だってキモいし、ね?」
「平坂くんならこっちのグループに入った方がいいと思うな?」
笑顔で挨拶をし握手して教室へ向かい入ると、クラスの人達に囲まれ僕と離れろと回りくどく言ってきた。
「あっ、ちょっとトイレ…」
「ちょっとぐらい我慢できるだろ?」
ーグイッ
あの時のように腕を引っ張られ並ぶような形となった。
「平坂くん、そんな子相手してないで僕らと遊ぼうよ!」
「私たちと友達になろうよ!そんな子となるぐらいだったら」
まるで僕は隣にいないような感じでどんどん話して来る。まぁ、いつもの事だからなんともないけどね?
「はっ?そんな子?キモイ?お前らの方がよっぽどキモいし…。さっきから莉都が嫌がる言葉ばっかりいいやがってそれでもお前らは人間か?俺からしたらお前らは人間の皮を被った悪魔にしか見えないけどな」
その言葉を最期にクラスはシーンとなった。
「じゃあこいつがちゃんと女の格好したらこんなこと無くなるのかよ?でもそんなことしたらこいつは苦しいし辛い…。もしかしたら死ぬかもな…そしたら殺したのはお前らだぞ?」
碧衣の顔をちらっと見るとすごく苦しそう。
今にも泣き出しそうな感じがする。
どうしてそんなに優しくなれるの?もしかしたらなにか抱えているの?
「女が男の格好したり男が女の格好したらお前らは莉都のようにいじめるのかよ?性別が違うってだけで本人は相当苦しいのにソレに追い打ちをかけるのかよ…。もっと莉都の気持ち知ってくれよ…もっと……みんなで…仲良くしよう
よ…」
碧衣の目からついに涙が零れた。綺麗だった。
人ってこんなにもに綺麗に泣けるんだ?
周りからすすり泣く声が聞こえ、僕は顔をあげた。するとクラスの数人が泣いていた。
「碧衣…みんな…。泣かないで僕なんかのために…もっと大事な時のために取っとかないと…。」
「雪風くんごめんなさい。」
クラスの1人が謝ってきた。すると次々とみんなが謝ってきてくれた。
「み、みんな謝らないで、別にみんなが悪いわけじゃないし、元はと言えば僕が生まれてきたこと自体おかしいことだし、だからみんなは被害者なんだよ?だから謝るのは僕の方。ごめんなさい。」
「莉都。そんなこと言わないで…生まれてきちゃいけない人なんていないんだよ?ちゃんと理由があって生まれてきたんだから。俺も莉都と出会うため生まれてきた。莉都も俺やこいつらと出会うため生まれてきたんだよ?」
碧衣…。生まれてきちゃいけない人はいるんだよ?それは僕だったったわけで…。
「うんそうだね…。」
軽く笑いながらそう答えるしかなかった。
「なんでそんな辛そうな顔で笑うんだよ、何がそこまでさせてるんだよ?泣きたかったら泣いていいんだよ?俺らにサインをくれよ…ちゃんと受け取るからさ…。」
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