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人生の晴れ舞台
「俺と結婚してください」
差し出される指輪。ダイヤ1カラット。
私になんか到底似合いそうにない豪勢な指輪を彼は優しく微笑んで受け取れと言う。
……なるほど。
だから『サイゼ』で『ユニクロ』で『箱無し』で渡しやがるのかこの男は。
「ダメです」
「はあああああ!?!?俺の分と合わせて300万したんだぞ!?」
「アンタが品なさすぎるもん。指輪は可哀想だから貰っておくけど」
「ああもういいよ、お前の心は金や宝石じゃ買えねえって分かったからな……」
そういう問題ではない。てか話聞けや。
「じゃあ150万ありがと。サイゼ代は割り勘にしといたげるわ」
ダイヤの代わりに返したのは500と書かれた金色のコイン一枚。
今日の私は今までで一番ダサいけど、なんかかっこよく感じた。
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