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「それより、俺の連れ、知らない?」
肩にかかる美雪の手を払いながら、俺は、もしかしたらという思いで、美雪に聞いてみた。
すると、美雪は訝しそうに眉を顰めつつ、自分の顔を指さす。
「ここにいるけど?」
「え?」
美雪の言葉の意味が分からず、俺も美雪の顔を見たまま眉を顰める。
そんな俺を見て、美雪は、心配そうな顔になると、ずいっと顔を近づけてきた。
「暑さで、頭、やられた? ほら、冷えたお茶飲んで」
ペトリと首に当てられたペットボトルを受け取りつつも、俺は首を傾げたままだ。
「もしかして、俺、美雪と出かけるところ?」
「そうだよ。ちょっと、ホントに大丈夫?」
「あ〜。うん。まぁ……」
曖昧に答えつつも、頭の中は、混乱が渦巻いている。
美穂と一緒にいたような気がするのに、どうして、美雪といるのだろう。
いや、美雪は、実際に目の前にいるのだから、美穂と一緒にいたと思う事が間違っているのか。俺は、白昼夢でも見たのだろうか。
首を傾げつつも、美穂と目的地へと向かう。
「今日は、どこに行くんだっけ?」
「動物園だよ。それも、忘れちゃったの? そんなパンダみたいな格好してるくせに」
美穂は、呆れたように肩を竦めた。
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