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俺は、ばっと辺りを見廻した。
「ちょっと、どうしたの? 顔が真っ青だよ」
美雪の声には答えず、俺は、怒鳴り散らす。
「出てこい、美穂! 何処かにいるんだろ! 出てこい!」
俺の怒声を楽しむかの様に、建物の影から、うっとりと蕩けそうな顔をした美穂が姿を現した。
「やだ〜。怖い顔」
「美穂! お前、何をしたッ!」
「何って、あなたをタイムリーパーにしただけよ」
ねっとりと絡みつく様な美穂の視線を、弾き返す様に睨みつけていた俺は、聞き慣れない言葉に困惑する。
「タイムリーパー?」
「そう。あたしを受け入れないあなたなんて、何度でも、身を引き裂かれる様な苦しみを味わえばいいのよ」
「どういう事だよ?」
「あら? 説明したはずよ。忘れちゃったの?」
美穂の得意満面な笑みが、俺に瞬時に全てを思い出させた。
タイムリープだ!
俺は、あの出来事を繰り返している。だったら、もう一度戻って、あいつを救う! 救ってみせる!
決意を込めて、美雪を睨みつけてから、俺は、美穂の肩をガシッと掴んだ。
「美穂! ごめん。キス、させてくれ!」
目を見開いたまま固まっている美穂の唇を、俺は、有無を言わさず、強引に奪う。
途端に、俺の体に、ビリリと電流が走った。
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