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途端に、体にビリリと電流が走った。
美穂を突き飛ばし、俺は、唇を手の甲で拭う。
「何するんだよ!」
「あら、お気に召さなかったかしら? あたしのキスは、特別なのよ」
「好きでもない女とのキスなんか、特別でも何でもねぇよ」
俺の吐き捨てるような言葉に、美穂は、耳障りな笑い声をあげた。
「本当に、特別なのよ~。あたしの本気のキスを受けた人は、タイムリーパーになるんだから」
「……タイムリーパー?」
「そう。時間をやり直せるの。良かったわね~。時間を戻れば、あなたの大切な妹の美空ちゃんを危機から救えるかもしれないわよ」
「な……んだと?」
「タイムリープの仕方は、簡単。あなたのことを、本気で好きな相手とキスをすればいいの。ね、簡単でしょ?」
俺は、美穂の言葉に目を見張る。
もし美穂の言葉が本当なら、今度こそ真っ先に美空の元へ駆け付けて、必ず危険から守ってやる。だが、美穂の言葉など宛にできない。こんな奴の相手をするよりも、今は、急いで美空の元へ行かなくては……
駆けだそうとした足は縺れ、俺は、無様に地面に倒れこんだ。おかしい。体の自由が利かない。
「言ったでしょ。あなたは、タイムリーパーになったの。もうすぐ、タイムリープが始まるわ。あたしを受け入れないあなたなんて、何度でも、身を引き裂かれる様な苦しみを味わえばいいのよ!」
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