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「あの、先輩? 大変不躾な質問で申し訳ないのですが……」
「ん? 何?」
美桜のあまりにも恐縮しきった態度に、俺も些か緊張しながら、美桜の方へ視線を向ける。
美桜は、俺の視線を避けながら、モジモジとしつつも、疑問を口にした。
「あの、何故私は、今日、誘われたのでしょうか?」
「えっ?」
予想していなかった質問に、思わず間抜けな声が出てしまう。
「もしも、先輩がそういうおつもりで、お誘い頂いたのでしたら、きちんとお断りをしなくてはと思いまして」
「えっ? あの……じゃあ、どうして今日のこと、OKしてくれたの?」
突然、美桜に振られた形になった俺は、訳が分からず、内心慌てふためく。
そんな俺の胸の内を、知ってか知らずか、美桜は淡々と答えた。
「それは、皆さんの前でのお誘いでしたので、その場でお断りしては、何かと気まずいかと思いまして。実は、私、好きな人がいますので……その……」
「あ〜。そう。……気を使わせてごめん」
美桜は、対象者にならなかったという事実に気がついた俺は、ガックリと肩を落とした。
その時、あいつの姿が、俺の視界に飛び込んできた。予定通り、友人たちと楽しそうに、こちらへとやって来る。
やばい! もう来てしまった。
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