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「そういう事でしたら、お気遣いなく! むしろ、ワクワクします! 私、尾行とか、一度やってみたいと思っていたので!」
美桜は、何故だか、小さくガッツポーズをしている。やる気満々という事だろうか。
そして、暫しの間、片頬に人差し指を当てて何かを考える素振りを見せたかと思うと、またもや、突飛な事を言い出した。
「先輩! そのままでは、姿を見られるかも知れません。着ぐるみを着ましょう!」
「ええ? 着ぐるみ?」
「処分する物が1体あるんです。取ってきますから、先輩は、尾行を続けてください。すぐに、連絡入れます」
美桜は、唖然とする俺を残し、遊園地の奥へと駆けて行った。
数十分後、戻ってきた美桜に段ボールを押しつけられた俺は、建物の陰に隠れて、薄汚れたパンダへと変身を遂げた。
この遊園地の経営者の孫娘だという美桜は、たまに園内でアルバイトがてら、手伝いをしているようで、着ぐるみの1体をくすねて来るくらい、わけ無いという話を、着替えている間に聞かされた。
俺は、美桜の素性など全く知らなかったが、自分の素性を知っていたからこその、今回の抜擢なのだろうと推察する美桜に、それとなく話を合わせておいた。
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