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今は平日の夜。
会社からの帰り道に、たまたまワインバーに立ち寄った。
もちろん一人で、だ。
そのカウンターでチーズなんかを摘まみつつ、ワイングラス補傾けて落ち着いた時間を過ごしていた。
飲むには飲んだけれど、精々グラスで三杯ってとこだ。
幻が出るには少なすぎる。
ついでに言うと、脳内照合の結果も該当者無しと出た。
虚勢を張って嘘を吐いたとてロクな事にはならない。
「どちらさまでしたっけ?」
最終、俺の口から出た言葉に、彼女は落胆の色を隠さなかった。
「酷いなぁ。忘れちゃったの、私の事?」
そう言いながら俺の隣にちゃっかり腰かけてくる。
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