◇告白

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 昼。類は教室で食べないで、学食に行く。  ささっと食べて、その後は、晴れてれば、中庭のベンチのとこで日向ぼっこしながら読書。雨なら図書館で読書。  今日は、雨なので、絶対図書館、のはず。  弁当を食べ終えて、図書館に向かう道の途中。  女子の声に呼び止められた。 「佐原くーん」  振り返ると。マゾか愛かとか言ってきた、相原だった。  あ……変な子。 「なに?」 「今朝、久しぶりに佐原くんに話しかけてたでしょ」 「……気になる?」 「皆めっちゃ気にしてるよ」 「人の事なんか気にしなくていいのに」 「だって、桜木くん、あんなに綺麗なのに、誰とも喋んないし。カッコいいって言ってる女子も居るのにさ。で、それを佐原くんが崩せるかって楽しみにしてたのに、最近もう諦めたのかなって噂してたら、今日いきなりでさ。しかも、桜木くん、速攻出てっちゃうし」 「――――……桜木って、モテるの?」  なんか色々言ってたけど、一番気になることを聞いてみた。 「うーん、モテるというか。 顔綺麗でカッコイイから、憧れかなあ。 誰とも喋ってくれない人、なかなか本気で好きになる子は居ないから。まだ憧れどまりかな」 「へー……」  なるほどね。  そっかー。モテるのか。 「モテるのは佐原君でしょ」 「オレ?」 「ただでさえ、ほっといてもモテそうなタイプなのにさ。桜木君に声かけてあげて、優しいーとか、評価上がってるし」 「へえ。 面白いなあ、皆」 「面白いって……そこらへん、興味無さそうだね」  相原が、ふ、と笑ってオレを見上げてくる。 「あのさ」 「うん」 「愛かもしれない」 「え?」 「マゾじゃなくて」 「――――……愛なの?」 「うん」  くす、と笑うと。  相原は、へー、と笑った。 「2人を好きな子は、泣くかもねー。って、いいの? そんな事言っちゃって」 「だって、相原、誰にも言わないからって、こないだ言ってたじゃん」 「ああ。愛かマゾか聞いた時?」 「そ。言ってたろ?」 「うん。言ったわ」  クスクス笑って、相原は頷いた。 「――――……受け入れてもらえたら、隠してもらわなくてもいいと思うけど」  オレの言葉に、相原は目を大きくして。  それから、めっちゃ面白そうな顔で笑った。 「分かった。めっちゃ楽しみに、見守ってるねー」  楽しそうに、駆け出して消えた。  …………やっぱ、変な子。  ぷ、と笑いながら、図書室に向かう。  居た居た。  ほんと。どんだけ本読むつもりだよ。  その時間の1/10でいいから、オレに使ってくんないかなあ、と思いながら。類の隣に座った。  雨だから他にする事が無い奴が来てるのか、放課後よりは、人が居るけど。類が居る端っこは、誰も居ない。 「類」 「……オレ、迷惑って、言った」  こっちを見ずに、類が言う。 「……ほんとに、心から迷惑ならね」 「――――……心からだよ」  視線が少し彷徨って。  それから、そう、静かに言う。 「――――……そうやって、迷ってるみたいな顔するから。オレが諦めないんだって、分かる?」 「……迷ってなんかない。……お前が言う事、いちいち、意味が分かんないんだよ……」 「嘘だよ。類、頭いいんだから、分かってるだろ」 「……」  はー、と類がため息をついてる。 (2021/8/11)
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