◇告白

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 ギリギリ勝ったけど――――……。  類、今、普段走ってないんだよな……。  それでギリギリって。  これ、走り込んだら、負ける気がする。  ……もったいないなー、陸上部、入ればいいのに。  ちなみに、集まってるメンバーの中で、オレと類が、1位と2位。  これで、リレーは、類が第一走者、オレがアンカーという事に決まった。  リレーのバトン練習などをして、今日の練習は終わりになった。  解散後、指導に来てた教師が1人、類に話しかけてるので、近寄っていくと。陸上部の顧問らしく、類を陸上部に、誘っていた。  うちの高校は、部活は必須ではない。  やりたい奴が、やる。  類は、もうやめたんで、と、はっきり断ってた。 「やればいいのに」  オレが言うと、類は、入ってくんな、みたいな顔をしてる。  教師は、もっと言ってくれ、みたいな事をオレに言ってる。 「いつでも入部してきていいからなー?」  うしろで叫んでるのを聞きながら、歩き出した類に並ぶ。 「……お前このまま部活だろ」 「オレも教室に荷物は取りに行くから。一緒にいこ」 「――――……」  何か言いかけたけど、黙ってしまった。  拒否るの、諦めたのかな。 「ていうかさ。類。デート、だかんな?」 「――――……」  すごく嫌そう。 「……何でお前そんなに速いんだよ?」 「バスケで走り込んでるからじゃねえ?」 「にしたって――――……」 「オレ、小学生の頃、走り方教室みたいなとこに通ったからかなあ」 「……それにしたって、速すぎ」  はー、とため息をつきながら言う類に。 「類、デートするんだしさ」 「……」 「連絡先教えて?」 「……やだ」 「……何で?」 「――――……別に待ち合わせだけ決めればいいだろ」 「何かあって遅れるとかなったらどうすんだよ」 「そしたら、中止」 「類って」  上履きを履いて、さっさと歩いて行く類を追いかけて、また隣に並ぶ。 「どこ行きたいか明日までに考えて?」  そう言うと。  類は、またため息をつきながら。 「お前の好きでいいから……」 「……ほんと? じゃあ、オレ、明日までにめっちゃ考えてくるから」 「そんな考えなくていいよ、簡単に……」 「無理無理。類とのデートだし。今週の日曜は? オレ、午後空いてる」 「――――……あんまり知ってる奴が居そうにないとこにして」 「……なんで?」 「お前と一緒なの、見られたくないから」 「――――……」  普通に聞いたら、オレの事が嫌なんだと思うとこだけど。  ――――……多分、逆の、意味なんだろうな。  オレを変な噂に、巻き込まないための。  そう思うと、何だか意味も分からない切なさに襲われけど。 「楽しいとこ、探してくる」 「――――……」  類はオレを見て。  また、ため息をついた。 (2021/9/11)
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