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ねぇ。。
「ねぇ。私の事を覚えてる!?」
刈り上げない程度のショートカットの女に、
突然、そう聞かれた。
覚えてる?も何もない。僕(村林誠)は彼女の名前すら知らない。。
だが、忘れられるはずもなかった。
彼女は三年前からずっと、僕のストーカーだった。
警察にも相談したが、事件にならないと動いてくれない。それが警察だと思い知らされただけだった。
ある夏の暑い日だ。
僕は彼女に街中で連れ去られ、あるマンションの屋上へと連れていかれた。そして、彼女から告白されたのだ。
「ーーずっと誠さんと一緒に居たいの。だから、私と付き合って」
軽々しい口調で彼女はそう言った。
名前すら名乗る事なく。。
「ごめんなさい。僕、年上はちょっとーー」
年齢を知っている訳でもない。
だが、どー見てもおばちゃんだった。
まだ二十歳になったばかりの子供を捕まえて、何を考えているのだろうか?
ただ、そんな風に断っただけだ。それなのにーー。
「ーーあなたの事だけは絶対に許さない」
そう言い残して、彼女はマンションの屋上から飛び降りた。
何のためらいもなく。
ーーえぇぇぇ。
どーしていいのか?分からず、恐る恐る屋上から下を覗いてみる。
遠くてよく見えないが、彼女の残骸の様に見えるものが、転がっている。
ーー彼女はどーなったんだろうか?
ーー助かるんだろうか?
僕は急いで救急車と警察を呼ぶ。
冷静になっていくに連れ、僕が疑われるんじゃないかと怖くなった。。
そして僕はその場から逃げ出した。。
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