コロナ渦中の闘病日記 -20,手術前日① ICU-

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コロナ渦中の闘病日記 -20,手術前日① ICU-

手術の2日前から ICU(集中治療室)に向かう準備を始めた。ここ一週間の間は連日のように世話しなく荷物の出し入れをしている。 まず内科から外科に移る際に荷物を総まとめ(1回)、ICUに入るために術後の容態次第で滞在が長引くのを想定して2泊3日(2回)、ICUから出てから外科の個室に移るので、ICUに持っていく荷物とは別に荷物をまとめる(3回)。 右腕に点滴を刺したままの荷物整理はなかなか大変である。点滴を刺しているのを忘れて「びっ」と管を引っ張り「ひっ!」と小さな悲鳴をあげた。自業自得ではあるが。 まさか手術の前がこんなに忙しいとは思わず、隙間をぬうように検査は容赦なく入るので夜になるとぐったりである。 何故ICUに入るのか? ざっと手術前後の話をしよう。 手術当日は手術室で開胸手術を受け、終わり次第ICUに移る。手術が無事終ったとしても容態の急変があるかもしれないので、万が一に備えてICUに入る。 容態が落ち着いて、一般病棟で対応可能だと主治医が判断してはじめて外科に戻ってこられる。 あくまで手術が順調にいったらの話である。一般病棟に戻る一つの目安が、術後に目を覚まし人工呼吸器をつけなくても自発的に呼吸ができることである。 つまり麻酔がきれて目が覚めて、呼吸ができて容態が安定したのを確認されてからはじめてICUを出られる。 こればかりは神のみ知りうる経過なので、容態次第では2、3日はICUにいるかもしれないと事前に話を聞いていた。 この日記を読んでいる方の中でこれから手術をする人もいるかもしれないので、参考までに持ち物リストを下記に記す。 【ICUに持っていったもの】 タオル、フェイスタオル(病院で有料レンタル)、歯磨き道具一式、下着、パジャマ、スマホ(財布などは看護師長の金庫)、おしぼり、マスク、ナプキン(月の物が近かったので)、洗濯物をいれるネット、ビニールブクロ、ペットボトル(2本)、ティッシュ、大人用のオムツ、尿とりパット(売店で購入) 結論からいうと、術後が順調でICUに24時間もいなかったので、ほとんど荷物に手をつけることはなかった。 と、いうか開胸手術後は胸を裂いた後なのでとにかく痛いし、呼吸するたびに心臓が張り裂けそうに痛いので動くなど論外なのだ。 看護師らが必要に応じて荷物から出し入れをしてくれるので、呼吸器さえとれてしまえばあまり心配をする必要はない。 私は麻酔から目が覚めるのが早かったので早々にICUから出られたのだが、術前の私はその事を全く知る由がない。 念には念を、で準備を進めていた。 嫌々売店に買いに行ったのが大人用のオムツと尿とりパットだ。 介護かよ、30代でもう介護かよ! 術後は本当に自由に動けないので下の世話を他人に頼るしかないのだ。 しかも月の物が近かったので余計に気を遣う。女性の方は遠慮なく主治医や看護師に伝えておいた方が良い。月の物があたる予定がなくても女性ホルモンのバランスが崩れて出血することもあるから異変や心配事は必ず伝えておくのを薦める。 もっとしんみりと「あー、とうとう身体にメスをいれるのか」と感傷に浸る暇もなく慌ただしく時間だけが過ぎていった。
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