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ぷろろーぐ。
「七歳?あらじゃあ、うちの子と同い年ですね。」
母親の笑う声と知らない人の声が聞こえて、読んでいた絵本を閉じ、興味津々で玄関の方に向かった。
「あ、侑羽。お隣に引っ越してきた北原梨央君よ。挨拶しなさい。」
…はちみつ色、
見る角度によっては金にも薄い茶色にも見えるそのキラキラとした髪は、大好きな甘い蜜を想像させられた。
澄んだ色素の薄い瞳に、抜けるように白い肌。
彼の回りにはキラキラとした光の粒が散らばっているように見えた。
「…王子様みたいだ、」
そう、さっきまで読んでいた絵本の中にいた、お姫様を悪い魔女からかっこよく救い出した王子様。
はちみつ色の彼は、俺の言葉にぽかーんとした顔をしていたが、やがてふわりと微笑んで見せた。
「っ…、!」
その笑顔があまりにも綺麗で。
何だか凄く恥ずかしくなってしまったのをよく覚えている。
これが、俺と梨央の初めての出会いだった。
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