10

1/1

2440人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ

10

「い、いちいちそんなこと聞かなくても、梨央いつも勝手にしてるじゃん、、」 「そうじゃなくて、ここにだよ。」 親指でふにっと軽く唇を触られ、ボンっと顔が一気に熱くなった。 そんな俺を見て、梨央がぐっとさらに距離を縮めてくる。 「ちゃんと唇にはしたことはなかったよね?」 「っ、り、梨央、」 「でももういいよね?だって僕たち、番になったんだよ?」 ふわふわと香るレモンの香り。 もしかして、梨央が言う、俺のはちみつみたいな香りも梨央は感じているのだろうか。 「侑羽、お願い。いいよって言って。」 梨央のガラス玉のような綺麗な瞳に、間抜けに顔を赤らめた俺が映っていた。 「僕、侑羽とちゅーしたいよ。」 そろそろ我慢の限界なんだ、と囁くような甘いテノール声が鼓膜を揺らす。 …それに釣られるように、俺はこくりと縦に頷いた。 嬉しそうにその色素の薄い瞳を緩めた梨央が見えた瞬間、 ふわり、と温かな感触が唇に触れた。 信じられないぐらい近くに、梨央の綺麗な顔が ある。 「ふふっ、侑羽は目を開いてちゅーするんだね。」 「っ…」 慌ててぎゅっと目を閉じると、耳に甘いテノール声が流れ込んでくる。 「侑羽、口開けて?」 言われるがまま素直に口を少し開けると、するりと梨央の舌が中に入り込んできた。 「っ…んっ、…」 びっくりして身を引こうとしたのに、後頭部に回ってきた梨央の大きな手がそれを許してくれなかった。 「…ふっ、っ、…」 奥に引っ込んだ舌を強引に絡み取られ、俺の口内を梨央の舌が侵食していく。 その感覚が全部甘くて熱くて。 頭が真っ白になった。 「っ、侑羽、」 やっと唇が離されたと思ったら、どさりとベッドの上に押し倒された。 「っ、梨央…?」 梨央のはちみつ色の髪が、部屋のライトに照らされキラキラしている。 「ねぇ、侑羽。練習しようか。」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2440人が本棚に入れています
本棚に追加