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らしい、というのは、京介が背にしている壁の窓から、かぼそい光が入ってくるものの、その光が届くのは機械の足元までで、その上のほうはよく見えないからだ。
ただ、機械の上の暗がりに、二匹分の、金色に光る猫の目があって、京介を見おろしている。高さは一メートルといったところか。
そのほかにも、床や、少し離れた場所に置かれた機械の上に、光る目が二十匹分ぐらいはあって、京介を取り囲んでいるのだった。
猫裁判――。
と、先ほど、機械の上にいる二匹のうちの、オスの猫が告げた。「これは猫裁判です」と。
彼が裁判長で、先ほどのメス猫が検察官なのだという。
裁判なら弁護士はどこだ、と訊くと、猫裁判にそんなものはない、などとほざく。
ばかばかしい。
と、京介は思う。まことにばかばかしいが、縛られ、猫に詰問されているのは確かなのだった。
「おい、あんた、なんとか言ってくれよ」
京介は、少し離れた場所に呼びかけた。
そちらの壁際に机と椅子が置いてあり、スキンヘッドで、薄いTシャツの下から、プロレスラーのように筋肉を盛りあがらせた男が座っている。京介をここへ連れてきた男だ。
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