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俺の名前は鬼頭朔也
どちらかと言えば、モブ寄りな普通の高校生。
見える事以外と男に告られることを除けば、その辺にいる普通の高校生だと思う……。
小さい頃から何でか女の子より男にモテてた。高校生になってから更にモテた。なんかあったな、漫画で……俺も声を大にして言いたい……。
俺がモテてどうすんねんっっ!!!
放課後、俺は部室に居る。
映画研究部。それが俺の所属する部活だ。研究部って聞こえはええけど、実態はそんな畏まったもんじゃない。映画好きな奴は勿論いてるけど(俺も映画は好きだ)、帰宅部は困るな〜って奴らが籍だけ置いてる。活動してるのかしてないのかよく分からん部活だ。
適当に集まって昔の映画や最新作をみんなで見る事もあれば、ただ集まってお菓子を広げながら漫画を読んだり……これって部活動って言えるんか?
今日は俺と須藤伸介先輩と2人だけ。(この須藤先輩、社交的でイケメン、学年のカースト上位にいるような人やのに、なんでこんな幽霊部に入ってんやろか……。)
本当なら部長も居るはずなんだが、彼女と映画を見に行くとかなんとか言って、さっさと先に帰ってしまった。何やねん、アオハルかい!
部長が今日のオススメや!と言って置いていったDVDは世界的ロックバンドの伝記映画だ。
俺もこれは映画館で見に行ったことがある。ウチのばあちゃんがこのバンドの大ファンで、小さい時からこのバンドの曲を聴いて育ったので、俺もこのバンドが好きだ。
ボーカル主催のホームパーティでどんちゃん騒ぎしている場面で、須藤先輩が徐に口を開いた。
「俺、お前のこと好きやわ。」
「………俺も先輩のこと好きっスよ。」
「俺の好き、は、あの、ライクじゃなくて、ラブ、なんや、けど。」
「先輩……すんません。俺、先輩の事は確かに好きですよ。それは人としてって事っス。あの、すいません、男は流石に……。」
「やんなぁ……。俺もノンケや〜いうねん。お前のことそういう好きやって自覚した時は遂に脳みそバグったんかと思った。でもさ、気持ちだけは伝えたかった……いや、口が滑った?うーん……違うな。……あー、かっこ悪。」
「先輩、告るのってめっっちゃ勇気要りますよね。しかも同じ男にですよ?すげえっス。」
「お前、それたった今振った相手に言うか?」
「いやいや、そこは素直に凄いと思います。俺なんて中学の時に好きな女の子に告れなくてずっと見てただけやったし。んで、その子は別の奴と付き合ってまうし。玉砕覚悟で告っとけば良かったって思いましたよ。」
「お前でもそんな事あったんやな。」
「俺、モブ寄りやから。」
「なぁ……キスしてええ?それでお前のこと諦めるわ。」
「………俺、たった今、先輩の事振ったんですけど?つか、嫌や。男と、ましてや慕ってる先輩と、とか。」
「ちっ。雰囲気でイケると思ったんやけどな。」
ちょうどキスシーンが流れた。
「先輩、彼女作りなさいよ。先輩なら引く手数多でしょ?」
「まーねー。俺、モテるから。」
うわ、自慢かいな、うぜえ……。
「朔也。これからも先輩後輩で仲良くしてくれや。」
先輩はそう言って俺の頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
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