神様、思い出す

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凄い良く転がったから、久しぶりに目が廻った。漸く止まった時には完全に前世と今世の人格が混じり合ってしまった。 やはりグルグルと回りながら転ったせいか。 立ち上がろうとするも目眩のような感覚がして体を起こせない。 そうこうしている内に上段から凄まじい勢いで駆け寄られた。 「おー、ギュード!大丈夫ですか!?」 声のする方向に顔を向けると3、40人程が俺を囲んでいる。 どの人もこの世の者とは思えない程に美しい。 ヨーロッパ絵画の神々や天使のような風貌だ。 「大事ない」 いきなり前世を思い出して混乱しているけど、至って冷静を装って応えた。 「!!!?ギュード!何て事だ!」 1番近くにいる銀髪ロン毛の女神みたい人が目に涙を貯めて叫んだ。この世の終わりみたいな顔してるよ。 「美しいご尊顔に汚れが!」 美しい、ご尊顔…。 銀髪女神はその薄衣で俺の顔を擦った。 い、痛い。 想像より強く擦られて皮膚が剥がれそうだ。 「あぁ!こちらも!!」 別の所も擦ろうとしてきたので、体を捻って避けた。 目眩も落ち着いてきた。 「もうよい」 「で、でも、まだ汚れが」 「キヴィンナ。ギュードがよせと言っているのだ。止めるんだ」 キヴィンナと呼ばれら美少女の後ろから石膏像のような均整の取れた肉体と顔をした青年が現れた。 「キッレ。分かったわ」 キヴィンナな渋々と衣を持つ手を引っ込めた。 キッレと呼ばれた男が俺に手を差しのべたので、それを掴んで立とうとした。 しかし、足が絡んで上手く立てない。 生まれたての小鹿のように足がガクガクして安定しないので、キッレの手を必死で掴んだ。 介護されている老人の気持ちが少し分かった気がする。足が自由にならないのだ。 「ギュード。お痛わしい。失礼」 ヒョイっと犬猫でも抱えるみたいにキッレは俺を抱き上げた。
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